果てしなく続く草原の中、一人佇む師を見つけた。
なんだか儚く消えてしまいそうな気がして、思わず彼の名を口にしていた。
「玄徳様!」
ふんわりと笑って振り向く彼の人。
母を求める赤子のように手を延ばし、あの笑顔まで後少しという所で目が醒めた。
「夢…か。」
くしゃりと髪をかき上げ、長く息を吐いた。
あの方は息災でいらっしゃるのだろうか…?
苦労なさってはいないだろうか…。
側にいることすら出来ない自分。
胸が締め付けれるようだ。
夢の中の自分は幼ないままだった。
どんなに望んでも、結局手は届かなかった。
今なら届く。
きっとあの笑顔に。
今度こそ、必ずお側に。
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鷺草 夢でも貴方を想う
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