香る、薫る恋の予感。
匂いたつような恋の花。
実ることはできるでしょうか?
一言、言葉を交わしただけ。
呉の人じゃなかったから、
きっと今回の婚礼に着いて来た人だわ。
なのに、もう一度会えるかしら?なんて。
私、明日には結婚するのに。
こんな想いは無駄だけど。
一目惚れってやつかしら。
18年間生きてきて、初めてした恋らしい恋。
実らぬ恋とはわかっていても、
胸の中でむくむく大きくなっちゃって。
一目でいいから会いたいわ。
なんて、珍しく女の子になっちゃって。
したくもなかった政略結婚。
綺麗な着物も喪服な気分。
墓場に続く絨毯の先。
重い足取りで引き摺られてく。
俯く私。涙が出そう。
「忘れ物ですよ。」
そっと耳に触れたのは優しい声と無くしたピアス。
にっこり笑ったこの人は、
私の恋したあの人で。
香る、薫る恋の花。
実った私は幸せね。
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