死花



綺麗だと思った。

死にに来たには、あまりに綺麗だと思った。



真っ白い装束を纏い、義弟の弔いをする為。
長々と横たわるその布陣はあまりにも愚かで、美しかった。

徳の人だと聞いていたが、
大徳もまた、人の子だったということか。

「花のようですね。」
誰にともなくぽつりと呟く。



儚い、その一瞬の強さが。美しさが。





そんな自身の考えに歪んだ笑みを浮かべ、工作部隊へと号令をかけた。
「火を放って下さい。」

赤い炎が秋の空に燃え上がる。




飲み込まれていく白。
花は枯れるから美しいんですよ。



→モドル